2018年7月30日月曜日

難しい、悩ましい

情報量をあえて落とすことで聴こえてくる音もあるということは、マニアなら誰でも頭では理解していることと思います。
しかしこのような現象を、性能が高いから聴こえるのだと勘違いしてしまうことも多々あります。

媒体からスタートするオーディオ、出てきた音だけ聴くオーディオでは、正しい判定が難しいのです。

自然の音を聞くにしても、生録音するにしても、この現象は悩ましいものです。


一つ身近なところで例を挙げると、川の音があります。

水量が多い時は、”ザー”という音が大きく聞こえます。少ない時は”チョロチョロ、ポチャポチャ”という音になります。
このように水量によって、”ザー”と”チョロチョロ、ポチャポチャ”の割合が決まります。
”ザー”という音が、やや優先して聞こえるときに、試しにわざと高音域を落として聞いてみると、”チョロチョロ、ポチャポチャ”が、よりハッキリと聞こえてきます。
いわゆるマスキング現象の影響で、”チョロチョロ、ポチャポチャ”が聞こえづらくなっていたので、特定の情報を落とすことにより、聞こえやすくなっただけなのですが、これが媒体化された場合、高性能だから聴こえると勘違いしてしまう場合があるということです。

自分で生録音すると、こんなことも気になります。
そのまま録るか、情報をあえて落とすか・・・はたしてどちらが望ましいのか?
こういった音の判断は現場でも難しいし、悩ましいのです。

*約6か月間、週3~5日、実際に川に出向いて音を聞き続けました。そして今も続けています。

3 件のコメント:

  1. 今回の話題はとても興味深い内容です。

    おそらく生録をした事がない方は、この話しは何の事なのかピンと来ないかも知れませんが、私もこのような体験を沢山しています。
    このKO球氏が指摘しているように、情報量を減らすとあたかもそれが音質良く聞こえてしまったりします。
    私の見立てですが、ハイエンドユーザーからローエンドユーザー関係なく、8割方のオーディオマニアが騙されると思います。

    現場に行けば、こんなやり取りをしたりします。
    スタジオ某氏:徹音さ~ん、これ聴いて貰って良いですか??
    私:はい、何でしょうか??
    スタジオ某氏:この音源なんだけど、聞き比べてみてよ!!
    (私がミキサーコンソールのchアッテをいじり、a:1ch+2ch/b:3ch+4ch/c:5ch+6chと比較します。この3種類の音源を聴いた結果を伝えます。)
    私:cに向かう程にハッキリと解像度良く聞こえますが、本来の音はaですね>
    スタジオ某氏:徹音さんと話すとごまかせないな。答えは情報量を落としたんですよ。
    私:やはり、そうだったんですね。これリスナーさん達、騙されますよね。絶対、cの方が良さげに聞こえますよ。
    スタジオ某氏:これは、元の音を知っているから判断が出来るんですよ。

    よくオーディオマニアの方はこのような音比較にブラインドテストをやりたがりますが、現場でも散々言われた事なんですが無意味ですね。
    生録して、その音の再生がどれだけ正しい方向を向いているかの比較はAとBの対象物ではなく、生音とAの比較、生音のB比較が重要です。
    それを容易にするのは、生録しかないと思います。
    つまり、録音を軽視して音を語るのは出来ないと私は感じます。

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    1. 頭(知識として)では、こういうこともあると分かっていても、生録音などを通して実際に現象を耳で確認しなければ、判定は難しいですね。

      逆を言えば、媒体化された音が、生の音から情報を落としてあるのにもかかわらず、自分が普段聴いている生音とは違うという理由で、再生時になにかしらの付加音で生っぽい音に仕上げてしまい、それが正しい再生音と、勘違いしてしまうこともあります。

      生の音を誰よりもよく知っているというだけでは、それはそれで思わぬ落とし穴に落ちてしまいますので、再生音には別のスキルと知識が必要になります。

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    2. 文章訂正があります。

      誤)生録して、その音の再生がどれだけ正しい方向を向いているかの比較はAとBの対象物ではなく、生音とAの比較、生音のB比較が重要です。

      正)生録して、その音の再生がどれだけ正しい方向を向いているかの比較はAとBの対象物ではなく、生音とAの比較、生音とBの比較が重要です。

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