2018年12月22日土曜日

音聴きの技術は盗めない

音なんて聴けばわかる・・・と信じたいところですが、長年の経験上、むしろ聴いても”わからない”のがオーディオの音だという印象が強いです。

”わかる”というのは、その再生音の本質を捉える(正確性、また、正しい音を基準として、対象となる再生音の特徴を把握する)ということですが、リスナーの耳の感度や基準とする音が違えば、”わかる”も多種多様になり、それでは本質どころか相互理解にさえ苦しみます。

他人に理解できない”わかる”では話が食い違って当たり前で、これでは”聴いてもわからない”と思われるのが落ちです。まぁお互い様なのですが、それだけ音の聴き方って人それぞれだということです。

そんな多種多様な音の聴き方ですが、似たような感覚、好みを持った人たちが集まってグループを形成することもあります。この中では、”わかる”が共通性を持ち、話も通じやすくなりますが、皆が似通った嗜好や聴き方の癖を持つために、かえって再生音の本質が掴み辛くなることもあります。

ところで何故、音の聴き方が人それぞれなのでしょうか?

問題なのは個人の感覚で自由に決めるイイ音の概念なのです。
概念はまず、再生音に対する考え方、それに耳の感度と音の好みなどから生まれるわけですが、それらに関わる音の聴き方に、普遍的な共通性を見いだせない為に、我流の聴き方がはびこり、それがイイ音の概念に影響を及ぼしているのです。つまりは再生音の聴き方の基本を学ばないために、嗜好によるイイ音がたくさん現れるのです(これ自体は悪いことではありません)。

学ばないと書きましたが、現実的には音響メーカーや音楽制作のエンジニアならいざ知らず、普通の人は学べないのです。

昔から職人の技は見て覚えろ、盗めなどと言いますが、音の聴き方となると、お手本となる人のポーズはマネできても、見ることも触ることもできない感覚は盗めません。

音は聴覚器官や脳に障害がなければ誰でも聞こえるものですから、改めて聴き方を学ぼうなんて普通は考えませんし、むしろ馬鹿馬鹿しいと思うでしょう。
それ故にある意味、再生音を聴く技術の伝承は、相当に難しいのかもしれません。

しかしひとたび再生音の聴き方基本を習得すると、正しい音は嗜好の音の殆どの部分を結局は内包しているのだと気付きます。これはオーディオ的には大きな意味を持つのです。

では、学べない、習えない事を一体どうやって習得するのか??
それは音聴きの普遍的・共通性の基礎実証して見せた人の経験をたどるのが手っ取り早いと思います。あとは実践あるのみです。

私が習得した音聴きのレベル(まだ先がある)までであれば、過去の日記に現段階に至るまでの大まかなプロセス書いています。
私が行った数々のプロセスは、プロの世界に精通している徹音さんのプロセスと合致していることも確認しています。

これより先の領域となると、徹音さんのような特別な才能や聴力、それに新たなプロセスが必要であろうと推測しますが、私レベルまで(普遍的・共通性の基礎までであれば、たぶん日記の内容を真似ることで習得可能かと思います。

2 件のコメント:

  1. これまた、随分と過激な事を書きましたね。

    しかし、真実なので異論なしで、よくぞ言葉にして書き込んだと言う事で、拍手を送りたい気分です。
    現実問題として、オーディオマニアの方がホントに基礎知識として知っておかないとならない事があるのですが、それが全てスルーされています。

    過去のKO球氏のブログ記事は、まずここを知っておこうよと言う内容が満載なので、私が参考書として何度も目を通すようにしています。
    私が経験した知識は、時として一部抜けている事もありますので、この抜けている部分をKO球氏のブログで補完してくれる事柄が多いのです。
    つまり、私が見逃した気付けなかった部分が、逆にKO球氏が気付いて知っていたりするからです。

    この知識は、ハイエンド機器、ローエンド機器の所有は関係ありません。
    こんな機種、あんな機種の機種自慢しても、その自慢話しの内容は無意味な事、そう言う所からは気付けないですね。

    兎角、こんな機種でこうやったらこの音になったと言う記事が氾濫していますが、事実、音が変わるのは当たり前で、そこは問題ではありません。

    逆に基礎知識が豊富にある方は、オーディオマニアの方ではお目にかかった事は残念ながら、私の経験値の中で誰一人といませんでしたが、唯一、KO球氏だけでした。

    以前にも書きましたが、オーディオマニアでいると見ている角度が一定、そこにはコロニーが形成され小さな村、箱庭的垣根が存在します。
    その垣根から一歩も外へ出ない事で、その中だけの知識で完結します。

    それが機種本体の交換も含め、アクセサリーやらなんやらと取っ替え引っ替えが永遠に続く俗に言う沼に入り込み、地獄を見る事になります。
    最近は、この価格はあり得ないと言う価格の製品まで散見され、これで良いの?と疑問さえ感じます。

    これも頭の中で考える妄想的美音で、この美音追及の為にやり込めますが、これが正しい音の方向から逸脱してしまうのです。

    最近、流行の空気録音は、この中にある録音された音情報は、色んな事を教えてくれます。
    録音の良いか悪いかは、二の次にして、この録音した音を聴くと思い通りに録音が出来ていない事が開口一番ではないでしょうか?
    楽曲を再生して、いつも聴いているように録音しようとしても、大半の方は出来ていないと思います。

    音の聴き方の基礎知識として理解している方なら、この所の解決策がわかります。

    余談ですが、YouTube動画の高音質化により、人様にお聴かせも出来るようになりましたので、ちょっとした音の判断にも有効なので、私もヘタレなユーチューバーになって、このサービスをとことん有効活用しています。

    私が一つ思うのは、私のYouTube動画の中で気に入った楽曲があったら、その同じ楽曲をCD、ハイレゾとか、レコードをスピーカー再生して、その音を聴いたように録音するのも面白いと思います。
    それも同じ楽曲で録音して良いですから、中には私を意識してなのかわかりませんが、アーティストは同じなのに別の楽曲で録音している方がいますが、変える必要はないと思います。

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    1. これまた随分と長いコメントをありがとうございます(笑)。

      このブログを参考にしていただいて、うれしい限りです!

      目指す音がハッキリしてくると、反対にどうでもいいことが増えますよね。

      そのどうでもいいことに執着して、あ~でもない、こ~でもないと沼にハマってしまう・・・それが楽しいマニア時代を私自身も経験してますので、理解はできますし否定もしません。ですが生録音を経験したことで、その先があることに気付きました。
      通過してきたからこそ、分かることがあります。そして今があります。

      正しい音を求め出してから、様々な嗜好の音も自分の中で消化できるようになりました。正しい音が嗜好の音を内包しているように・・・。



      ネット環境が整い、音源はハイレゾという時代ですから、出来ることなら存分に活用して楽しみたいです(徹音PCに感謝です。これ要ですからね)。

      その一つが、You Tube 等を通して聴く「空気録音」というわけですが、その可能性を検証する為に、徹音さんとは互いに同じ楽曲を録音するという実験を幾度となくしましたね。

      このような試みの輪が広がれば、また面白いと思います。ただこの場合、たんなる自慢だけに留まらないでほしいですね。目的が自慢だけだと、余計な問題も出ますからね。

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