2021年4月22日木曜日

小口径&小型箱での、理想の低域の出し方とは

 Audio Renaissance Online 2021 Springの空気録音で聴いたGenelecのG Oneの低音域は、小口径&小型箱での模範解答を示しているようでした(*完璧かどうかは別として)。

小型SPは大型SPと比べると、どうしても低音域での伸びや量感は限定的に成らざるを得ないので、その場合どのように低音域を付ければ正解(妥協点の定め方と言うべきか?)なのかという疑問を持って聴いてみると色々発見もあり面白いです。そして比較用として、days2.1の低音の付け方も聴いてみてください。


小型SPに限ったことではないですが、ユニット単体では出すことの出来ない低い帯域は、電気的な補正を駆使する場合もありますが、基本的には箱(方式)を利用しながら凹凸の少ないF特性と質を考慮して付ける、これが現代のメーカーの主流的な考え方でしょう。

話を小口径&小型SPに限定しますが、上記のような考えで設計することで、小型SPの限定的な低音域において、基音再生は無理でも倍音は正確に再生することは可能となります。これがもし低音の基音に拘り過ぎて無理に低音域を伸ばすと、その上の帯域で凹みが生じて倍音が正確に再生できなくなり、結局は低音楽器の音、いやそれどころか中低音~中音域の楽器の音までも大きく変形させてしまい兼ねません。こうなるといったい何のために低音域を伸ばしたのか?となり、伸ばしても伸ばさなくても完璧は到底無理という、身も蓋もない結論になります。

そこで現実的には妥協案として、それぞれのメリットとデメリットを天秤にかけた時どうすべきなのかという選択に迫られます。

SPは純粋な楽器じゃないので、F特性がデコボコだと、基音が正確に出ても倍音が正確に出るとはなりません。ではF特性がフラットならいいのかというと、必ずしもそうではないです。F特性には付帯音も混じっている場合も多々あるからです。また低音再生方式による時間軸の狂いもF特性だけでは判断できません。

上記のように無理に低域を伸ばして招く数々のデメリットを避け、限定的であっても再生可能範囲での正確な音を出すことを選択するのが一流メーカーの考え方なのだと思います。

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