<聴き比べてみよう~!>
空気録音の評価の場合、録音物の音だけを評価対象にすることはあまりなくて、再生機材からの出音、部屋の癖、録音機材やマイキングといった各パートの影響を考慮しながらの評価になることが多いと思います。
ただ空気録音といえども、再録の精度がどんどん上がれば、最終的には純粋に出音のサンプルとしての評価が可能になってくると思います。
徹音さんの空気録音は、そんな領域に近づいてきています。
空気録音には、リスニングポイントでの実音を目標に置く場合と、部屋の音を排除(L/Rのクロストークも排除する)してSPの純粋な音を目標とする場合があります。
徹音さんの場合は多くの方が行う空気録音と同じく、リスニングポイントで聴く音になっています。
リスニングポイントで聴く音といっても、ある人はホールのような音を好み、またある人は媒体の正確な再現を好んだりと様々です。
これは嗜好や目的に違いがあれば当然のことで、別にどちらでもいいんですが、要は空気録音された音を聴いて、明らかに変!と感じることがあるならば、やはりそこには何らかの原因があるわけで、その部分が何に起因しているのだろうと考え、それらをも含めて総合的に評価するのが私の空気録音の評価法になります。
そういう観点からも徹音さんの空気録音はマイナスポイントの非常に少ない優秀な空気録音です。
またプラスポイントも多く、今回の録音は、出音も録音自体の音質もまた上がったようで、それに伴い音色が一層ハッキリしてきました。
音色をより正確に出すことと音質を上げることの関連性が理想的で、実に見事です!
今回、YouTube動画の【徹音の音シリーズ】の空気録音に採用した楽曲の紹介です。
返信削除●YouTube動画:徹音の音20210704 01
・アーティスト:Lê Bảo Bình
・アルバム:Để Cho Anh Khóc (Remix)
・トラック:01_Để Cho Anh Khóc (Remix)
●YouTube動画:徹音の音20210704 02
・アーティスト:Lê Bảo Bình
・アルバム:Để Cho Anh Khóc (Remix)
・トラック:03_Kết Thúc Lâu Rồi (Remix)
●仕様
・媒体形式:AAC 128/320kbps(アルバムファイル購入)→TetsuOto DAW-ProAudio PC Tower Reference V4 Studio (Revision 5・Prototype)でリッピング※→WAV形式
・リッピングツール:非公開 ※拡張子変更
・再生機器:TetsuOto DAW-ProAudio PC Tower Reference V4 Studio(Revision 5・Prototype)
・再生時サンプリング:16Bit-44.1kHz(WAV形式)
・再生ツール:非公開
・録音機器:TetsuOto DAW-ProAudio PC Tower Reference V4 Studio (Revision 5・Prototype)
・録音時サンプリング:24Bit-192kHz(BWF形式)
・録音編集ツール:非公開
※BWF形式とは、プロ向け環境で使用するWAV形式の拡張形式です。
※ご視聴の際、ヘッドフォンでお聴き下さい。
※著作権絡みでブロックされる場合があり、その為に再生が出来ない等が発生するかも知れませんが、その場合は状況次第で速やかに楽曲の変更、差し替えを行う場合があります。
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徹音のボヤキ
今回の徹音のボヤキのお題は「リスニングポイントでの音」です。
その前に・・KO球氏の投げかける話しの中で「音色をより正確に出すことと音質を上げることの関連性」という、何やら意味深で、右から左に聞き流すにはもったいない文章があります。
実は非常に重要なことで、これを無視するとコンシュマーオーディオにありがちな、嗜好まみれな音に化けてしまいます。非常に難題ですが、ここを攻略する事により、本当の意味での音の向上が見えて来ます。
さて、リスニングポイントでの音については、再び部屋の残響問題と位相狂いの話しとなります。
現場のプロならこの手の話しは当たり前で、この対策をやらなければ、音がぐちゃぐちゃになります。
オーディオ部屋の残響に関しては、音楽ホールを一つの理想とする方もいますが、一般のホールと個人が所有するオーディオ部屋とには、大きな違いがあります。
防音の効いたホールには必ず低音を溜める部屋があり、これを無毒化、つまり過剰な低音を殺す部屋があります。しかし個人が所有するオーディオ部屋は、防音は立派でも、この低音を殺す部屋を設けていない場合が大変に多く、このようなケースでは、ある問題が起きやすくなる傾向があります。
さあ、この低音は何処へ行けば良いんでしょうか?
いつまでも音残りが尾を引き、次の出音にかぶり、音の分解能を悪化させ、俗に言う変な音になります。このような現象を、私、徹音は「ハレー彗星残響」と呼んでいます。
この「ハレー彗星残響」は、残念ながら低音の逃げ場がない限り根本的な解決方法はありません。吸音材による吸音方法がないわけではありませんが、密閉度の高い防音部屋では現実的には物量的に厳しいです。また「ハレー彗星残響」を反射板で散らそうとしても、風呂の湯船に浸かり、鼻歌フンフンしているような音になります。
そしてこの反射板の乱立は、隠れ位相狂いを引き起こす元凶にも成り兼ねません。反射板による乱反射での対処療法に過度に頼ることになるからです。
加えて低音が部屋でいつまでもうごめく様な状態で中高域の吸音を施しても、かえって音がこもるだけですから、中高域の吸音は悪として扱い、結果として軽視し、さらなる位相狂いの上塗りが起こります。
プロは当たり前のように中高域も吸音をしますが、ホール音を好む音キチマニアさんは、真逆をやりたがることが多いようです。ハイエンド、ミドル、ローエンドの区分けは、この話しには関係ありません。
ちなみに徹音工房の立地は、マンションになりますので、徹音工房スタジオの低音処理には、あえて廊下と言う部屋を利用しています。
最後に今回の目玉の話ですが、今回の空気録音は、次期モデルのタワーリファレンスV5スタジオの叩き台として、現行のタワーリファレンスV4スタジオの改良版プロト・リビジョン5の仕様で行いました。
機器側の位相狂いの排除をより進め、再生時は正確に音をトレースする事と、録音時は正確に音を拾い上げる収音能力を高めました。
またKO球氏が今回も比較用に同じ楽曲でブレない同じ方向で空気録音をされていますので、聴き比べると面白いです。随分とKO球氏愛用のパワード・スタジオモニターのエージングも進んで来たように感じます。
「音色をより正確に出すことと音質を上げることの関連性」から考えると、この考えに沿う音は安心出来るものです。
今回の徹音工房スタジオのYouTube動画を視聴して頂き、ありがとうございます。
位相狂い問題にしても、「ハレー彗星残響」にしても、難しい理論の前に、正しい音とは?という疑問を持つことが先決で、それが解決につながる第一歩かと思います。
削除結局のところ音聴きのスキルの問題になってきますからね。