2023年5月26日金曜日

箱の構造によるところの吸音処理の難しさの差

誤解があってはならないので・・・今から書くことは、ダイナミック型ユニットと、なんらかの開口部を持つ箱方式のSPに限定した話になります(密閉箱にも当てはまる内容も部分的にあります)

SPの箱の方式、容積、内部形状、寸法比等により、吸音処理の難しさは違ってきます(当然ユニットも大きく関与します)。

究極的には吸音材は無い方が良いのですが、箱の構造で吸音処理が不完全な場合は吸音材を使わざるを得ません。それを前提でぶっちゃけた事を言いますと、吸音材による吸音処理で解決できないような付帯音を発生させる箱は、そもそもの設計が悪いと私的には判断を下します。何故かというと、わざわざ出したくない音を箱側で過分に作り上げてしまっているからです。とまぁ、以前も書きましたけど・・。

そのように設計された箱は、空気室での吸音はご法度というケースがよくあります。理由はダクトからの抑えきれない付帯音を見かけ上緩和させるために、これまた空気室内で反射して振動板やダクトを通って出てきた中~中高域帯の音圧を加えることで、相対的に目立たなくさせ煙に巻こうとするためです(逆相を思い通りに利用できれば解決の糸口が掴めるかもしれませんが素人では難しいでしょう)。

毒を以て毒を制すのは、付帯音と言えども下手に中高域帯を吸音してしまうと、各々の帯域の量的バランスが保てず、吸音できない過分帯域が余計に目立ち、傾向としてボケたキレの悪い音になってしまうからです。この現象はルームチューンにも当て嵌まる場合があります(どのようなケースかは想像にお任せします)。

【余談ですが、毒を以て毒を制す音作りは付帯音に頼る音作りであり、このような音を「高音質で切れがいい」と評価した場合、音色と音質の本質が全く理解できていないと判断することができます。】

これが吸音材を否定せざるを得ない隠された理由の一つです。つまり、吸音材を悪者に仕立て上げることで、そもそもの箱の設計の悪さを隠してしまおうという責任転嫁の常套手段です。

責任転嫁はさておき、現実的には吸音材による完璧な吸音も無理である以上、付帯音の漏れはあるわけですから多かれ少なかれそれを利用していることには間違いありません。超ご都合主義的解釈をすれば、この利用による調整を、テクニックといいます(笑)。ただし毒を抑制させて高音質化へと導くテクニックということなので、趣旨は全く違います。

SPにより程度の差はあれど、ダイナミック型ユニットと開口部を持つ箱の組み合わせによるシステムであれば、ほとんど全てのSPにあてはまるテクニックです(密閉箱であっても現実にはそうです)。

箱の構造で付帯音を完璧に抑えられないのであれば、吸音材による吸音は必要悪であり、その吸音処理による調整がうまくいけば結果的に音が向上するのですから責任転嫁の必要はなく、吸音材も箱も悪者にはなりません。win-winでハッピーです(笑)。ここまで辿り着けるかどうかは、箱の設計、吸音処理技術、そして何より大切な音の聴き方のスキルを磨くしかありません。

兎にも角にも、音色と音質を区別して聴くことができないと付帯音を聴き逃す可能性が大きくなります。ましてや耳が悪くなってしまっては尚のことで、私も含めて年配者は切実な問題に直面してると言えます。

いくら良い部屋、良い装置があっても、そもそも音が聴けなくなってくると音の評価も厳しくなります。そうなったらもう出来る事といえば機器自慢くらいですか・・。これは悪い意味ではなくて、憧れの機器に対する思い入れを語るというやつです。
もちろん資金任せのマウント取りになると話は別ですよ。高級品を持っていないと、専用のオーディオ部屋がないと、そもそも音を語る資格がないとか言い出すと、もう意味不明でしょ。そんな人いないか・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿