2023年5月27日土曜日

徹音PC次期モデルが待ち遠しい

 最近、徹音さんから徹音PCの次期モデルの進捗状況連絡をよく受け取ります。こうなってくると、もうすぐかぁ~?と期待が膨らみます。

それにしても現行モデルの発表&販売から長かったですね。

現行モデルの完成度が高いだけに、増し増しで完成度を高めることは、が付くほど難しい調整なのでしょうね。何せ現行トップモデルに対抗できるCDプレーヤーは、徹音PC所有者の複数人の方(横の繋がりを持たない)の話によると、偶然にも300万円オーバーと、まことしやかに囁かれているという話ですから(実際に両方所有している人の発言とのことです)。

なんでもそうですが、完成度の低いものなら幾らでもできますが、完成度を高めるとなると、やはり調整には時間がかかるものです。

私の吸音処理の大変さなど、比ではありませんね。

反省!

2 件のコメント:

  1. 徹音のボヤキ


    ご無沙汰しておりました。徹音です。

    徹音工房スタジオのYouTube動画チャンネルを撤退してからというもの、のんびりと過ごせる時間もなく、新製品の開発と現場からのフィードバックの繰り返しで、まだ見えぬゴールに向かって一歩一歩進めています。

    今回はKO球氏が徹音PC関連の記事をあげてくれたこともあり、私、徹音が最近気になった事を「徹音のボヤキ」として書きたいと思います。

    今回のテーマは「本当の匠とは」です。

    「徹音のボヤキ」を楽しみにされていた方には、今回も期待通りの濃い内容で切り込んで行きますので、覚悟の程は宜しいか?と言う事で、それでは始めたいと思います。

    今回の「徹音のボヤキ」には、私の亡き父に登場してもらいます。
    「エッ、オーディオの話しなのに、なんで貴方の親父さんが出て来るのさ??」って思った方は、是非とも最後まで私の話しにお付き合いください。

    私の父は、日本料理の師範で、日本調理師協会の理事と日本調理師の師範をやっていました。
    82歳まで日本全国を飛び回り、日本料理のドンクラスの人物でもありました。
    亡くなったのは、平成30年05年09日15時30分で、年齢は89歳でした。

    父は日本調理師の技能が評価され、日本全国のホテル、旅館、料亭、結婚式場、調理師専門学校の日本調理師の模範指導者として仕事をしておりました。
    また「江戸の名工」「農林水産大臣賞」「紫綬褒章(しじゅほうしょう)」を授与されています。

    父の技能としては、平安から1200年の歴史がある「食材に“触れず”魚をさばく 約1200年続く伝統儀式の庖丁式」と言う儀式にも出る腕前を持っておりました。
    父がその腕前を公の場所で披露した時には、なんて美しい儀式なのだと涙が出てくるほど感動した事を思い出します。

    本当の意味で卓越した技能の持ち主で、そのレベルの高さに圧倒されました。
    その父の卓越した技能を得るに至るまでの苦労は、見よう見真似で出来る話しではなく、血を吐き、血尿が出る苦労が伴ったと聞いています。

    私の父が亡くなった時、父の弟である叔父からこんな話を聞かされました。

    叔父は淡々と喋り始め、
    「君のお父さんはな、日本料理を極める前は、和菓子屋に勤めていたんだよ。この話しはお父さんから聞いた事はなかったよね。お父さんはペラペラと話す人じゃないからな。じゃ話すからちゃんと心にしまっておくんだぞ。お父さんはその当時、和菓子屋のご主人の作り上げたあんこの味を完全にコピーして、更にご主人よりも美味いあんこを作り上げたんだよ。毎日、毎日、あんこの味見を繰り返して、歯がボロボロになるまで研究を続けたんだよ。だから、あのような歯になってしまった。」と話していました。

    あんこ一筋で味を極める為に、左右上下の奥歯2本ずつ、合計8本を失った理由がようやくわかって、味を追求する父の決意や苦労からしたら、私などはまだまだなんだなと思いました。

    叔父の話しは更に続き、
    「その後、お父さんを日本料理の世界へと導いた、その道のドンの紹介で日本料理を一から学んで行ったんだな。テレビの料理番組にも出たりしたが、いつしか一切、雑誌やテレビには出ないと言い始めて目立つ事をやめたんだよ。逆にそれが良かったんだと思う。売名や目立ってしまって、ただただ似非な匠を演じるより、真の匠を目指す決意で表舞台から消えて修行に励んだんだ。」

    こんな父の、凄い努力家で絶対に妥協しない姿勢に、周りも感化されて接するようになりました(父はテレビで有名な日本料理家の方々とも交流があり、私も父に同行させて貰った時にお目にかかった事が何度かあります)。


    私が思うに、雑誌を含めたマスコミの功罪として、「匠」と言う言葉がどれほど安く見られるようになってしまったか?卓越した技能を持った本当の「匠」は、その中にどれほど存在するのか?私はほんの一つまみ程度と思っています。

    さて、私の父のプライベートな話しを出したのは、KO球氏の吸音処理が大変という話しは、吸音材研究を行いもせず、安易に吸音材を悪者にしている方達に対して、あれこれ言う前に色々試そうよと言う話しをしている訳で、実はこの調整行為の繰り返しこそが大切で、これが亡き父のあんこの味見をし過ぎて、歯がボロボロになる感覚に近いと思ったからです。

    今、徹音工房では新製品のリリースに向けて、日々現場とタイアップして音合わせに注力しています。組み立ての時間は大した事ありませんが、音の調整は徹底的に追い込むため、膨大な時間がかかっております。諦めずに追い込まなければ、更なる一歩の前進はありません。

    このような私の音への接し方や拘りは、父から受け継いだ精神なのだと思います。

    また、あれこれと改善した方が良いですよって言ってもらえるのはありがたい事で、厳しい評価を貰えると言うのは、最終的には音の良さに繋がります。
    他人様からの評価に対して、自分の音を勝手に評価するなと突っぱねたら最後、もう決して本人が気付けていない欠点が伝わることはないでしょう。
    これはそのまま、空気録音をしてその音のいびつさが露呈していても聴き取れず、その為、何故こうなったのかという事にも気付けないと言う話しに繋がります。

    空気録音を聴いていてよく思うのが、再生も録音もまずはスキルが先で、高額品への投資はその後でよいというのが実証されているということです。そもそもスキルのない人が、ハッタリで金に物言わせて高額機器を揃えたとしても、その機器に振り回され、踊らされていることが伝わり、スキル不足がバレますよ。空気録音を聴けば、それはわかりますからね。

    また空気録音から聴き取った音で感じることは、正しい音を理解出来ていますか?です。まずそこの所から考えてこそ、音合わせは成立します。

    事の不具合を直さずに新たなものに手を出しても、それはご自身のスキル不足が原因なで、そのものに対して悪者扱いしていたら、絶対に根本解決は出来ません。
    それはハムスターの籠の中にある回し車のごとく、勢い良く回るも同じ位置に留まるのと同じで、前進はありません。

    さてさて、長くなりましたが、とても気になった事を話題にしてみました。

    今回の「徹音のボヤキ」、「本当の匠とは」を読んで頂き、ありがとうございます。

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    1. 今回も深い内容てんこ盛りでおなかいっぱいです。

      徹音さんの御父上が料理人だったという話は聞いて知ってましたけど・・いやもう言葉が出ません。
      しかしなるほど徹音さんのストイックさは今回の話で納得しました。

      こんな凄い話に私の行いを絡めていただき大変恐縮です。

      「正しい音を理解出来ていますか?」という問いかけは、まさにこれに尽きるんですよね。
      実音なら尚更ですけど、空気録音であってもスキルが露呈するのも、ほんと、そうですし、音が聴けていない事がバレてしまう。

      「録音エンジニアは自由に音を作ってるから、ユーザーも自由に音を作って聴いていい」という理屈を垂れる前に、「正しい音を理解してますか?」ってことでしょう。

      嗜好まみれ、付帯音まみれな自作SPを自画自賛して、吸音材入りの真っ当な音のSPを馬鹿にするその前に「正しい音を理解してますか?」ってことでしょう。

      音の評価にしても、互いに忖度ばかりでは、音に関しての建設的な話には程遠いです。

      真のプロのようなストイックさを素人に強要するのは筋が違いますが、素人はプロから学び取ることが多くあることをまず理解することが必要ですね。

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