これは、音量を揃えることで公平性を保ち、それに加えて公正な評価が可能になると考えているからです。
・・・が、しかし
一見筋の通ったこの考え方、音量を揃える目的の重点が公平性を保つことに置かれ、実のところスピーカー本来の性能をあぶり出す公正な評価という目的にはそぐわない、それどころか全くもって不十分で、これでは根本的には無目的と何ら変わりないのです。
音量を揃える行為は、特定の目的に照準を合わせてこそ有効な手段となるのです。例えば、20畳の和室での再生を考慮した実用的な音量とか、極小音量再生に適した性能かどうかを調べるとか・・。
要するに、2種のスピーカーの音量を、無目的に単純に揃えるだけで本質を聴き取る公正なジャッジが可能であると考えているならば、それは短絡的すぎるということです(勿論、音量以外にも重要な項目はありますが、今回の話は音量に限定しています)。
特定の目的は多岐に渡りますから、複数人集まる比較試聴の際には誤解を与えないためにも、その都度ハッキリと、意図する目的を試聴者に伝えたほうが無難でしょう。
また、複数のメーカー製スピーカーの比較試聴の際、単純に音量を揃えて鳴らすだけならば、決して性能の本質を公正に評価できる公平な試聴と強弁すべきではありません。
ここからが本題です。
”ある基準”とは、オーディオマニアなら誰でも知っている事です(ちなみにブラインド試聴とか、全然関係ありません)。
”知ってるけど、気付いてない”のかもしれませんが、書くと「なぁ~んだ、そんな事か」となります。
それくらい基本的なことなのですが、私の経験上、イベント等の試聴会では、まずその基準に合わせることはありません。合わせるには、ある意味ちょっと厄介なケースもあるからです。
なので、「分かっちゃいるけど無理がある、面倒だ」というのが現実だと思います(理由は簡単に説明ができます)。
『性能の本質を公正に評価できる公平な試聴』と言うからには、音量に関してだけでも上記の要件を満たさなければならず、更にその他諸々の事柄も加わるので、一筋縄ではいかないということです。
もっとも、A/Bスピーカー比較の前に、他に比較しなきゃいけない対象があるでしょ・・ということを、以前からこのブログでは書いています。
つまり、その結果をもって、A/Bスピーカーを比較する方が判断ミスが減り、またこの筋道を辿れば、特定の目的に絞った、いわゆる条件付き比較でも、性能の把握に合理性が得られるのです。
以上のような要件を満たして、ようやく公正な評価への第一関門をクリアといったところなのです。
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