2020年7月29日水曜日

比較試聴にご用心!

これは私がオーディオ機器の販売を通して感じたことですが、人は、聴き取りやすい(分かりやすい)再生音を良い音とか好きな音と判断する傾向にあるように思います。

聴き取りやすさには、各人の耳の感度の違いから自分にとっての適度感が付いて回りますが、実はこの基準も簡単にズレを起こします。

例えば2種の音の比較であれば、不足よりかは少し過多気味な音の方が高評価が得られやすいのです。

「いやいや、おとなしい音が好きな人だっているでしょ」と思われるでしょうが、ハイ上がりの音を聴かせた後に、おとなしい音を聴かせると、おとなしさを超えてこもって聴こえるもので、耳の感度のバランスなど簡単に崩せます。

このような比較試聴を繰り返し続けることで、そのうち訳が分からなくなったりして、単純な評価ミスを誘発することになります。

続けて聴くとどうしたって前の音の記憶が残っていますから、ニュートラルな耳の状態は保ち難くなって当然です。

短時間に詰め込むような比較試聴方法の場合、自分の好みの音さえも正確に判断できなくなりましてや自室以外の所で聴く場合はなおの事で、よほどの熟練者でないと正確な音の判断は難しいでしょう。

音の比較で大切なことは、先入観の排除、耳の感度バランスの保持、自分が録音した正確な生録音源、この3つが揃って初めて真実を見る準備が整うと考えています。

あとは勿論、音の聴き方のスキルが必要です!


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