2019年3月23日土曜日

再生音の考え方 2 /音色と音質
~その6 音色の再現~

一般的に音の三要素といえば、音の大きさ、高さ、音色です。これを楽器に当てはめると、音の高さは基音の周波数を指すのかと思います。音色は基音と倍音を含んだ全体の周波数成分。大きさは・・小さい大きいの絶対値ですかね。


とりあえず、再生音に関しては、周波数特性/時間軸/位相/ダイナミックレンジ/トランジェントに注目して聴きます。ノイズ、歪みなどは後回し(後で注意して聴くという意味であって、対策を後回しにするということではありません)。

まず、ダイナミックレンジは広いほど良い。トランジェントは正確な機敏さが必要。周波数特性はワイド&フラットが理想。時間軸は、最終的にはSPの音波なので、再生可能周波数帯域で揃える必要がある。位相も。

こういうことは私より詳しいマニアの方は大勢いますから、深く解説はしません。以降も専門的解説は省き、考え方に絞って進めます。


正しい音色の再現には、それぞれの要素に高いレベルが要求されますが、これはなかなか大変なことでもあります。ですので現実的に妥協は必然となりますが、その考え方というか、匙加減というか、その辺りにプロに迫る音聴きのヒントが隠されています。プロフェッショナルは完璧を目指しながらも、一方では現状を見据えた妥協の線引きも完璧なのです。


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まずは時間軸から考えて、明らかな阻害要素は持ち込まないことです。この点に関して特に如実なのがSPシステムです。SPシステムの構造や方式を考えると、大方の察しはつくと思います(方式としては、多くのメーカーが採用しているシングル・バスレフまででしょうね)。

生音と再生音のピークレベルでの周波数成分がほぼ同じでも、各周波数での時間軸が揃っていなければ、元の音色は再現できません。リアルタイムでの正確な周波数成分が必要です。そのような思想で作られたメーカー品もあります。

また、音色に強い個性を持っていたり、歪み成分が多いなど、もともとの性能に問題があるSPユニットの場合も、たとえ周波数成分が同じで時間軸も揃っていたとしても、同じ音にはなりません。そもそも阻害因子が含まれた結果としての周波数成分だからです

全ての帯域で時間軸を揃えるのは、かなり難易度が高いことですが、部分的であれば何とかなります。
とりあえず、中域だけの音色を確認するために、その帯域枠に入る、数種の楽器の音源を用意します。楽器による得手不得手があれば、その傾向を掴むようにします。傾向を掴むということは、その他の要素全てを同時進行で聴くということです。
そして、少しずつ帯域を広げて確認していきます。

SPの持つ音色を把握できるようになれば、プロの、再生音に対する考え方にも一歩近づけます。

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