2020年12月20日日曜日

目指す音 3
~偽物の偽物作りからの脱却~

 正しい音の観点から、生音を基準とした再生音の構築というシンプルな考えを、このブログで書いてきました。

以前から行っている生録音や徹音PCに加え、パワード・スタジオモニター・スピーカー(以下SP)を導入したのはその為です。趣味の一つである自作SPで、完璧なモニターSPを作ることができればいいのですが、残念ながら私には無理でしたので

完璧なモニターSPの製作は無理だと悟り諦めましたが、生録音源自体は自作SPの音合わせに役立ちますので、市販音源と並行して活用しています。

自作SPの音合わせの流れとしては、まず自分の耳で聴いた生音を、可能な限り正確に記録媒体に録り込み、次に実際の再生音の基準を設けます。これは生音に準拠した音という位置付けですが、完璧とは考えずに参考として、生音とも照らし合わせて自作SPの音に落とし込んでいきます。

しかしそもそも生録音源、つまり準拠音源に関しては問題がないわけではありません。

準拠音源の本当の音というのが何かしらの機器を通した再生音として聴くしかなく、結局は得体の知れない音源の正否の判断を感覚でしている事になるのです。

そこで強みとなるのが、録音現場で聴いた生音を知っている事と、録音機材の音の傾向を熟知しているという事です。そしてここで試されるのが、音聴きのスキルということになります。

経験的にザックリ言うと、音色と音質の聴き分けが出来る人ならば、感覚的であっても正しい判断ができる確率が高いと考えています。しかしそれだけでは不十分なのでしょうね。超一流メーカーは、人の感覚に加えて、精密かつ厳密な測定も行います。

上記の事柄を踏まえて考えた時、録音スタジオのモニターにも使われるような正確な音を出す超一流メーカー製SPを、同じ土俵で自作SPが越えることなど不可能だと考え諦めたわけです。

しかしもし、系譜に乗っかるような精度の高い偽物を自作できれば、それはそれで大したもので意味はあることです。

ただそれで自作SPマニアとしての自尊心が満たされるかどうかは各人の音に対する考え方次第だと思います・・こんなことを言うと、なんだかメーカーの真似をするなと言っているように聞こえるかもしれませんが、むしろ逆で、ドンドンいいとこ取りをしてよいと思います。事実、完成度の高いメーカーの音を模倣するというのは、高い技術を要しますから。


モニターの自作を諦めた私は、SPを製作する際、単純に自分の目標とする音が達成できればそれで満足なのです。それは超一流の先人達の再生音に対する考え方を知り、自分自身でも生録音を通してそれをなぞるようにして学び、「なるほど」と、納得するに至ったからです。

その結果、私の再生音に対する考えに加え、「メーカーのエンジニアがこのユニットを使ったら、どのような音にまとめるだろうか?どの帯域を優先して、また妥協するだろうか?」と、音をイメージするようになりました。

素人とメーカーでは、SP製作に使う部品が違いますから、素人の私の現実にメーカーの理念を重ね合わせて想像するんです。

そう考えることで、ようやく私は”偽物の偽物作り”という考え方から脱却できたように思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿